2012/09/28

ツアー初優勝を飾ったクリザンを分析!


さて、前回の記事でツォンガとクリザンの優勝について紹介しましたが、正直記事を見てこう思った方も少なくないと思います。

「二人ともおめでとう!…で、クリザンって誰?」

心配しなくても大丈夫!私も実はよく知りませんでした。今回はそんなみなさんの疑問に答えるべく、期待の新星?Martin Klizanについて調べてみました。
クリザンはスロバキア出身の23歳。3歳からテニスを始めた彼は、ジュニア時代に早くもその才能を開花させ、2006年から2007年にかけて、ヨーロッパ選手権や全仏オープンジュニアなどの主要大会で優勝するとともにジュニアランキング1位にまで上り詰めます。この時点で結構、というかかなりすごい選手です。

いくらジュニア時代の成績はアテにできないとはいえ、否が応にも期待してしまいますよね。この年にプロ転向し、それ以降はATPツアーをまわることとなります。

2006年全仏オープンジュニア優勝時。

ジュニアを卒業したクリザンはその後多くの選手と同様に、各地のフューチャーズやチャレンジャーに出場し、プロの世界に果敢に挑戦していきました。

上で述べたように才能あふれるクリザンでしたが、しかし男子ツアーの壁は決して低くはありませんでした。クリザンは2008年4月には前年900位台だったランキングを342位まではね上げ、まさしく昇り龍の勢いを見せますが、同年中にランキングは600位台まで後退してしまいます。

元ジュニア1位の意地を見せ、翌2009年の7月に再び350位までランキングを回復、さらに200位を突破しますがが、残念ながらその後2年間は100位台と200位台を行ったり来たりと、なかなかブレイクしきれない期間が続きました。

しかしこうして苦労を重ねたクリザンにもいよいよ報われる時が来ます。2012年初頭、再びランキングは120位前後まで後退していましたが、3月に開かれたモロッコチャレンジャーで優勝すると、その後さらにチャレンジャー3勝を飾り、ツアー大会でも7月のキッツビューフェルで自身初のベスト4進出を果たします。

こうして一気に波に乗ったクリザンは先の全米オープンでツォンガを6-4, 1-6, 6-1, 6-3で、同じく上り調子のシャルディをストレートで破り、自身初のベスト16に進出(4回戦はチリッチに敗退)。その勢いを維持して、サンクトペテルブルクでは第1シードのヨーズニーをフルセットの末破り、見事初優勝を果たしました。この優勝により、現在はランキングを33位まで上げています。

今週のクアラルンプールでは直前に腹斜筋を痛めて欠場しましたが、楽天オープンへの参加を予定してもいますし、是非有明でそのプレーを観たいものです。

33位とキャリアハイを更新。
今後どこまで伸びるのか。

通常、期待の若手が台頭してくる時というのは10代で一度センセーショナルな活躍を起こすことも多いため、クリザンのこのジワジワ来るようなランキングの上がり方を珍しく思う方も多いことでしょう。

私たち日本人からすると、同じ1989年生まれということでどうしても錦織と比較してしまうところもあります。錦織の場合は18歳だった2008年にデルレイビーチでブレークに勝って優勝したことで一躍名が知られるようになりました。現在トップにいる4人ももちろんのことながら、劇的なアップセットの末に活躍のきっかけを掴む選手は少なくありません。

しかし実際にはランキングの変動を重ねながら20位から50位の間を行ったり来たりする選手というのは相当数いて、決して珍しい存在ではないんですよね。

彼らは終始目立たずにランキングを上げてきて、急にトップ20、ひいてはトップ10に踊り出るようなタイプが多いですから、それ以前の印象がなくても仕方ないかもしれませんが…。フェレール然り、ダビデンコ然り、地味で玄人好みの選手が多い印象です。



プレーに対する雑感としては、やはりレフティだけあってフォアがいいですね。相手を一発で追い込めるまでの球威はなさそうですが、左利きなことに加えて、バウンド後に伸びてくるような軌道は後々化ける可能性を存分に秘めていると思います。

そしてコースがエグい。現在調子がいいこともあるかもしれませんが、テンポよくコーナーに打ち込んでくる思い切りの良さは見ていて気持ちが良いですね。バックハンドでも積極的に展開してくるところも個人的には高評価です。

一方でテンポの良さが逆にプレーを単調にしている面もあるかと思います。さらに後ろからの一発で決めるというより波状攻撃を得意としているようなので、上位と対戦する際にはボールを展開していく過程でカウンターを食らう可能性が高い。同様にパッシングもパンチに欠ける面があるので、相手のボレー能力がそれなりに高ければ苦しくなるでしょう。

柔らかな身体の使い方や、手数をかけながらコーナーにボールを集めるといった面ではジョコビッチにも似ていなくもない?気がします。身体もまだ細いようですし、十分にフィジカルを磨いて、体勢が万全なら一撃でポイントを決められるようなショットを身につけることができれば、トップ10も見えてくると思います(トップ10クラスはこのようないわゆる「理不尽ショット」を大抵ひとつは持っています)。

例えばベルディフの「理不尽ショット」は、
ベースライン後方からでもエースのとれるフォアハンド。

最近では、次々に上位プレーヤーを輩出して一挙にテニス大国となったセルビアをはじめとして、東欧諸国の躍進は目立ってきていますが、スロバキアといえば有名選手はこれまで女子のハンチュコワくらいでした。そんな中、クリザンという新たな芽が育ってきたことで、スロバキアの男子はジュニアを中心に大変な刺激を受けることと思います。

日本にとっての錦織がそうであったように、スロバキアにとってクリザンがテニス振興のきっかけとなったら面白いと感じています。

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