2013/06/27

ダルシスに敗れたナダルの変化について


私が忙しさにかまけている間にどんどんとシーズンが進んでいきます。気がつけばもうウィンブルドンも開幕、しかも波乱波乱の1週目ということで、私もうかうかしてはいられないなと筆をとった次第です。

さて、先日の全仏で赤土の王者としての強さをこれでもかというくらい見せつけたナダルがなんと1回戦で早くも倒れました!!

あまりの意外さに、それを聞いた私は「…ん?」と一瞬動きが止まってしまいました。だってナダルの1回戦の相手が警戒すべき選手、あるいはニューカマーだったらとうにチェックしているはずなのです。

それもそのはず、ナダルを7-6(4), 7-6(8), 6-4のストレートで破ったその選手はほぼ無名のベルギー人でした。



彼の名前はスティーブ・ダルシス。29歳と若くはなく、最高順位は2008年に記録した44位の彼が、なぜナダルに勝つことができたのでしょうか。



ダルシスの思いきりの良いプレー


この試合を通して最も目立ったのは、やはりダルシスの覚悟を決めた攻めの姿勢でしょう。

サービスの良さもさることながら、ナダルの強力なストロークに若干押される場面もありながらも、芝というサーフェスをうまく利用してライジング気味の早いストロークを展開していました。これにはナダルも少々戸惑っていたようで、ナダル自身の心地良いテンポでのテニスができていなかったように思います。


また当代随一のパッシングの名手ナダルに対して臆することなくボレーに挑んでいった点や、トップ5のような身体能力こそないものの、足を細く動かしてどんなボールにでも食らいついていった姿勢も素晴らしいものがありました。


フィットしきれていなかったナダル


ナダルが一試合の中だけでなく大会通してスロースターターだというのは広く知られた話ですが、今回のナダルも十分に芝にフィットしてはいないように感じられました。フットワークこそ相変わらず素晴らしいものでしたが、ショット選択に関してはセットごとに戦略が二転三転するなどかなり迷いが生じていたように思います。

第1セットでは「普段通り」のテニスをしていたように思われますが、ダルシスのテンポの早い攻めに押されて第1セットをタイブレークで落とすと、第2セットでは一転自ら早い展開をつくり、どんどんフラット系のボールを使って攻めて行きました。


結果的にはこれは吉とはでなかったようで、なんとかこれに食らいつくダルシスを攻め崩せず、結果ミスも増えてしまっていました。第3セットでは攻め手を若干緩め安定性したストロークを展開しようとしていたようですが、2セットを先取して波に乗ったダルシスの果敢な攻撃の前にサービスをキープしきれず、残念ながらそのままストレートで敗退することとなりました。



ナダルのテニスは変わらない?


試合内容としては、正直今試合のダルシスが良すぎたとしか言いようのないもので、ナダルは若干不運なところがありました。しかしナダルの本来の実力からいえばいささか疑問の残る敗退でもあります。

それはやはりいつも言われるスロースターターぶりと、そして良くも悪くも自分のスタイルを貫き通す姿勢がためなのだと思います。


ナダルのプレーの素晴らしいところは、サーフェスに関係なく自分のテニスができるところです。クレーコートのスタイルをそのまま持ち込んでウィンブルドンの栄冠を手にした数少ない選手であり、その適応力には誰もが舌を巻きます。

しかしRG優勝時にTwitterでもコメントしたように、ナダルは18歳のRG初優勝時から確立されたスタイルをほぼ変えることなくキャリアを歩んできており(18歳以前は逆にものすごいハードヒッターだったようですが…)、それゆえに以前から言われる弱点もそのまま温存されているということです。

もちろん以前と比較するとできることが増え、個々の技術も洗練されてきていることはたしかなのですが、結局のところ根幹の部分ではほぼ変化がないのです。

今のままでもクレーでは当分最強の名を欲しいままにするでしょうし、その他のサーフェスでもこれまでのように勝ち星を重ねていくのでしょうが、良くも悪くもほとんど何も変わらないでしょう。


一方のフェデラー。長く追ってきた方はわかると思いますが、彼はナダルとは逆に素晴らしく高いポテンシャルを持ちながらもテニス界のトレンドに逆らわず、サーフェスの特徴に逆らわず、柔軟にスタイルをフィットさせてきました。

だからこそこの年齢になってなお活躍できているのだと私は思いますし、願わくはナダルにも息の長いキャリアを送ってほしいと考えているので、現在の状況は個人的には疑問の残るところです。

まあ、何かを変えようと思ったらコーチをトニーから別の誰かに変更するぐらいの思い切りが必要でしょうが、ナダルがそうすることは考えられませんし、これからもナダルらしいプレーを続けていくこととは思います。



雑感


私も時間がなく十分に時間をかけて試合を見ることができたわけではありません。そのため試合展開に関して誤認などもあるかもしれませんが、おおむねこんなものだったかと思います。

また今回大変良いプレーをしたダルシスには申し訳ないのですが、彼の場合今までのように「これからの男だ!!」とはならないでしょうね。年齢もそうですが、試合内容でも完全に全力を尽くしてプレーしており、あのプレーが今後も継続してできるとは思えません。フィジカルという点でも技術的にもこれから飛躍するには高いハードルがあると感じます。

それにしてもベルギーの選手はロクスといい身長低めの選手が意外といますね。そして綺麗な片手バックハンド。どちらも昨今貴重な存在ですから今後も是非頑張ってほしいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿